肝臓癌

原発性肝癌

原発性肝癌は、他の臓器の癌が肝臓に転移するのでなく、肝臓で癌が発生する場合を意味します。
原発性肝癌は、主に3種類あり、肝臓の細胞から発生する「肝細胞癌」が90%程を占めます。他に、肝臓内の胆管から発生する「胆管細胞癌」が5%程を締め、肝芽腫というものもあります。
肝細胞癌の原因は、C型肝炎が最も多く、以下B型肝炎、アルコール性肝炎、NASHと呼ばれる脂肪肝から由来するもの等があります。
肝細胞癌を患う場合、肝炎ウィルスやアルコールによって、慢性肝炎や肝硬変を既に患っている場合が多く、肝臓の機能が低下している場合が少なくありません。肝細胞癌の治療は、その患者さんの肝機能を考慮した上で行わなければいけません。
実際の治療はどのようなものがあるか。主なものに、①手術、②TACEと呼ばれるカテーテル治療、③RFAと呼ばれる、針から電磁波で腫瘍を焼灼する治療、④抗癌剤による治療があります。また、一部の施設では、肝移植も行われます。

①手術

手術は、肝細胞癌の個数・大きさ・位置を考慮した上で、肝臓の機能も十分伴う場合は、手術で切除を目指します。肝臓の機能によって、肝臓を約2等分する右葉・左葉を切除する葉切除、肝臓を約4等分する区域切除、肝臓を約8等分する亜区域切除、腫瘍周囲のみを切除する部分切除と、切除する範囲が変化します。当院では、肝細胞癌の手術は基本的には開腹手術で行いますが、部分切除・亜区域切除・一部の区域切除では腹腔鏡手術も行っています。

②TACE

TACEは、局所麻酔で足の付け根の動脈からカテーテルを挿入し、腫瘍を栄養している血管までカテーテルを進め、その血管を薬剤で閉塞させてしまうと同時に、直接抗癌剤と投与する治療です。

③RFA

RFAは、体の外から超音波を頼りに腫瘍に針を刺し、針から電磁波を放ち腫瘍を焼くという治療です。通常は、局所麻酔で行われますが、当院では麻酔科の協力を得て、全身麻酔で行っているので、痛みを感じることなく治療が行えます。腫瘍の近くに腸などの臓器が存在し、針がさしにくい、他の臓器もダメージを被るかもしれないという場合は、全身麻酔下に腹腔鏡でお腹の中の状況を直視で確認しながら、針を刺して行う場合があります。

④抗癌剤治療

他の臓器の抗癌剤治療と同じく、肝細胞癌の抗癌剤治療においても、近年は「分子標的薬」という、新たな抗癌剤が登場しており、その治療成績は向上しています。

これらの治療は、その患者さんの肝機能、病変の位置や状態を考慮して、いくつかを組み合わせて行うことがあります。また、慢性肝炎や肝硬変を患っている患者さんでは、同時に食道静脈瘤などの疾患を患っていることもあり、その場合は、当院の消化器内科にて、あわせて治療を行っています。

転移性肝癌

転移性肝癌は、他の臓器の癌が肝臓に転移して生じます。治療は、手術で切除をする場合と、元々の癌に有効な抗癌剤治療を行う治療があります。