腹膜炎疾患

腹膜炎とは、消化管穿孔(胃十二指腸潰瘍穿孔、小腸穿孔、虫垂穿孔、大腸穿孔)等により、消化管の細菌が腹腔内に広がり腹膜全体に感染を来す疾患のことをいいます。
症状は腹痛、発熱、嘔吐等を来します。
緊急手術を要する疾患が多く、腹腔鏡手術だけでなく開腹手術を行い、患者さんの病態に応じた術式を選択して、患者さんの安全安心を第一に手術に取り組んでいます。

腹膜炎を来す疾患

  • 胃・十二指腸潰瘍穿孔
  • 小腸穿孔
  • 虫垂穿孔
  • 大腸穿孔
  • 壊疽性胆嚢炎  等

胃・十二指腸潰瘍穿孔について

胃あるいは十二指腸にできた潰瘍が穿孔を来して、腹腔内に消化液や細菌が広がって腹膜炎を来す疾患です。 治療法には、保存的治療と手術による治療法があります。 保存的治療は、胃管という管を鼻から挿入して、胃の内容物(胃液や食物残渣)を吸引して、安静を保つ治療法です。抗菌薬での治療も併用します。 手術による治療法は、当院では腹腔鏡下手術を主に採用しています。 (手術リスクに応じて腹腔鏡下手術か開腹手術を選択しています。) 手術の大まかな内容は、胃・十二指腸潰瘍穿孔部を閉鎖し、腹腔内を洗浄して、ドレーンという管を留置する手術を行います。

大腸穿孔について

大腸が何らかの原因で穿孔し、便や細菌が腹腔内に広がる腹膜炎や細菌が血液中にも広がる敗血症を来す疾患です。胃・十二指腸潰瘍穿孔よりも重篤な経過になることが多い疾患です。
当院では、救命を第一に考え、症状に応じた術式を選択しています。
開腹手術を主に採用していますが、炎症や感染等の症状が限局している場合に限って、腹腔鏡下手術も採用しています。
手術方法は、①ドレナージのみを行う手術や、②穿孔した大腸を切除して人工肛門を造設する手術、③穿孔した大腸を切除して腸管吻合を行う手術、といった症状と病態に応じた術式を選択しています。
手術後には感染等の症状の程度によって、集中治療室(ICU)での集中治療(人工呼吸器管理や一時的な透析治療等)が必要になる場合があります。